指導の手帖 ―酸と塩基ってそもそも何ですか
初めて化学の記事を書くなあ、と思いつつ、どうもこんにちは、音恩です。
「中高内容のブログにする」ときっぱり言ったはいいですが、どうも高校内容のほうがメインになりそうです。そりゃー、アレだ。高校内容の授業をするときっていうのはきちんと予習するものですから、記事にするネタも増えるわけですよ。中学生の指導ではぶっつけ本番で通用しますからね。
そんなわけで、今日は酸と塩基の話なんてものをしてみましょうかね。
理論化学でよく出てくるのは中和と酸化還元でしょうか?それは偏見?
でも酸とか塩基ってのが大事なことに変わりはないわな。はい、解説いたしますよ。
かる~く読んでね。
何度も書きますが、これは参考書じゃないですから。そんな真剣に読まなくていいのよ(笑)
◆
●酸・塩基の定義
酸ってのを一言で言えば「すっぱいやつ」です。青いリトマス紙につけると、赤くなるやつです。
塩基…かつてはアルカリと呼びました。アルカリは赤いリトマス紙につけると、青くなるやつです。ちなみに苦いです。
中学校では、こんな風に習うと思います。
でも、それだけではすまないんだね。
なぜフランク·ドレイクは有名ですか?
昔、アレーニウスという人がこんな風に定義をしました。
酸…水に溶けるとH+(H3O+)を生じるもの
塩基…水に溶けるとOH-を生じるもの
これは物質に固有の性質によって酸と塩基を分けています。
でもブレンステッドという人は別の定義の仕方をしました。
酸…H+(プロトン)を他に与えるもの
塩基…H+をもらうもの
じゃあこの反応はどうなるでしょう?
NH3 + H2O → NH4+ + OH-
アンモニアはプロトンをもらったから塩基です。でもそしたら…プロトンをあげちゃった水は酸ということになります。水は酸っぱくありませんが、酸なんです。
これを、広義の定義といいます。反応によって、水は酸にも塩基にもなります。つまり酸とか塩基とかいうのは、反応中の役割だって言ってるんです。
そしたら、化学反応がダーっと書いてあって、「この物質は酸としてはたらくか、塩基としてはたらくか」なんて問題が作れるんだね。見たことありませんか?
とりあえず、この定義は頭の片隅に置いておきましょう。
酸だの塩基だのを誰かに説明するときには、この定義を使って説明してあげましょう。
地球温暖化に応答して植物や動物方法
●酸・塩基の価数
さて。酸や塩基には「価数」というものがあります。
これは簡単。一言で言えば、「その酸(または塩基)が出せるH+(OH-)の数」です。
塩酸の電離の式を書いてみよう。
HCl → H+ + Cl-
です。つまり、1分子の塩酸は、1つのプロトンを出せます。だから価数は1です。
じゃあ硫酸は?
H2SO4 → 2H+ + SO42-
ですね。1分子の硫酸は、2このプロトンを出せます。だから価数は2です。
水酸化ナトリウムはどうでしょう。
NaOH → Na+ + OH-
価数は1ですね。いいですか?OH-はひとつしか出していませんから1ですよ。
●酸性酸化物と塩基性酸化物
酸化物ってのにも、酸だの塩基だのと同じ働きをするやつがあります。そいつらを酸性酸化物、塩基性酸化物と呼びます。
たとえば二酸化炭素。コイツは水に少し溶けて、酸性になります。青色BTB溶液に息を吹き込むと黄色になるのは、二酸化炭素の働きでしたね。
つまり、二酸化炭素は酸としての性質を持っているから酸性酸化物なのです。
じゃあほかに酸性酸化物はどんなものがあるでしょう?
どのように塩が形成されている?
亜硫酸ガス、というものがあります。大気中にこれが増えると、酸性雨が降ります。その化学反応式は
SO2 + H2O → H2SO3 → H+ + HSO3-
です。亜硫酸ガスのことを二酸化硫黄ともいいます。硫黄の酸化物ですね。だから、これも酸性酸化物です。他に、三酸化硫黄(SO3)や、十酸化四リン(P4O10)なんかがあげられます。
こいつらに共通する特徴は何でしょう?
…みんな非金属の酸化物なんですね。但し、水素の酸化物は水なので除外します。それから希ガスはそもそも酸化物を作らないので、除外します。
では塩基性酸化物は?
水に溶けると塩基性になるものをあげてみましょう。
例えば酸化ナトリウム。
Na2O + H2O → 2Na+ + 2OH-
水に溶けると塩基になります。
酸化カルシウム(生石灰)も同様に
CaO + H2O → Ca2+ + 2OH-
ちなみに、最後に出来たCa2+イオンとOH-イオンの水溶液は石灰水です。二酸化炭素を通すと白くにごります。
その他、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化鉄(Ⅱ)なんかも代表的な塩基性酸化物です。
ということは…
塩基性酸化物とは、金属元素の酸化物ということになります。
ちなみに酸化マグネシウムや酸化鉄は水には溶けにくいんですが、酸と中和反応をする、ということで塩基性酸化物なのです。中和については後日あらためて。
◆
ひとまず、酸と塩基とは何か、という大雑把な説明を行いました。
これを踏まえて今後計算問題を解いていきます。
特に「価数」は非常に大切なのでアタマに入れとくといいです。
0 コメント:
コメントを投稿