第22回 世界一クリーンな日産のディーゼル技術 - ECO JAPAN〈エコジャパン〉 - Nikkei BPnet 環境ポータル
清水:まずは燃焼方式について、教えてください。
木村さん(以下、敬称略):ディーゼルの燃焼は、よくローソクの炎に例えられます。蒸発した燃料が空気と出合い、その場で燃えていくというものです。これを拡散燃焼といいますが、燃料が非常に濃い状態で燃焼するため、水素だけが抜けてカーボン(炭素)となり、ススが発生してしまいます。一方、ガソリンエンジンはあらかじめ空気と燃料を混ぜた状態で燃やすので炎が青く、ススが出ません。
清水:都市ガスみたいな炎ということですか?
木村: そうです。ガスバーナーのような青い炎ですね。ローソクの炎のオレンジ色は、実はススが発光した色なんです。ディーゼルはどうしても火がつくのが早いものですから、空気と出合うとすぐに燃えてしまいます。
清水:なんとかそこをガソリンに近づけようということで苦労するのですね。
時間あたりの数ofmilesは何ですかその雨滴滝
木村:ええ。一言でいうと、燃料を噴いてからしばらく時間をおいて、燃料と空気があらかじめ混ざった状態で燃やしたいんです。そのために何をしたのかというと、1つは噴射のタイミングを少し遅らせるということ。ピストンが下がり始めたところで噴出して、なるべく温度を下げてから火をつけようというわけです。もう1つはシリンダーの中に大量のEGRガス(※編集部注)を入れるということ。EGRには分子が重たい二酸化炭素や水が含まれますから、一度着火しても温度が上がるまでに時間がかかるのです。
クリーンディーゼル搭載車両のエンジンルーム。エンジンをかけたまま、ボンネットを開けても、ディーゼルとは思えないほど音が静か
清水:それで低温での予混合燃焼が可能となったと?
木村: そうです。それから、圧縮比を通常のディーゼルよりも低くしています。今までのディーゼルは圧縮比が17前後でしたが、欧州で発売したエクストレイルの圧縮比は15.8、MK燃焼ではようやく15まで下がりました。確か、BMWも16を切っていますよね。燃焼タイミングを遅らせることで、燃料と空気が混合する時間を稼ぐのです。
清水:温度が低いから、噴射してもすぐに火はつきませんしね。
不適合が形成された方法
木村: 通常、ディーゼルは噴射するとすぐに火がついてしまいますから、火をつけづらくするために、つまり着火までの時間を稼ぐために、EGRを積極的に使って温度を下げているのです。
清水:その燃焼はホモジーニアス(Homogeneous、均質)ですか?
木村: 僕は"アン・ホモジーニアス燃焼"と言っています。ホモジーニアスは一度に均一に火がついてしまいますから、「バーン」と非常に大きな音がするんですよ。これはHCCIの特徴ですね。だから、一斉に火がついて燃料がいたるところで燃えるのを避けて、段階的に火がつくようにしています。
清水:では成層燃焼ということですか?
木村: 厳密にいうと、成層燃焼に近い均質燃焼です。真ん中が濃くて、だんだん薄くなると考えてください。燃料を噴いて均一になっていく中間段階で火をつけてしまうんです。その一番の効果は燃焼がマイルドなことで、ディーゼルの音がさらに小さくなります。
人間を持ち上げるためにどれだけの空気力
※EGR(Exhaust Gas Recirculation)とは、排気ガスの一部を吸気ガスと混合して燃焼させることを指す。ここでいう「EGRガス」とはエンジンに再循環させる排気ガスのこと。NOxの排出抑制や燃焼速度を遅らせる効果がある。排気ガスの取り込みは一般に排気パイプから吸気パイプに設けたバイパスを使用し、制御によってガスが移動する仕組みになっている。
***************
研究所構内で試乗したところ、スカイラインに搭載された世界で最もクリーンなV6ディーゼルは、驚くほど静かで、高級車然とした走りであった。「Bin2」を実現するには、耐久性などの課題が残っているが、ガソリンと変わらないクリーンなディーゼルの道筋はついたようだ。
日産のクリーンディーゼル技術を支える触媒と制御技術に関しては、また別の機会にレポートしたい。
清水 和夫(しみず・かずお)
プロフェッショナルなレースドライバーとして国内外の耐久レースで活躍する一方、自動車ジャーナリストとして活動を行っている。ドライビングを科学的に分析する能力はクルマの正確な評価にも生かされ、シャープな論評は支持者が多い。
ジャーナリストとしては国内だけでなく、海外にも活動を広げ、自動車の運動理論、安全、環境、ITSのみならず、自動車国際産業論にも精通し、多方面のメディアで執筆活動を行っている。本年10月には、日本放送出版協会より「ITS」を出版。
ボランティア活動としては、CRS普及活動を行っている「子供の安全ネットワーク・ジャパン」、「妊婦のシートベルト着用を推進する会」などの会をサポートしている。近年は、救急法(ファーストエイド)・AED(除細動器)の普及活動も行っている。
主な連載誌
『NAVI』、『ENGINE』
主な著書
「ITSの思想」(日本放送出版協会)、「ディーゼルこそが、地球を救う-なぜ、環境先進国はディーゼルを選択するのか?」(ダイヤモンド社)、「クルマ安全学のすすめ」(日本放送出版協会)、「燃料電池とは何か-水素エネルギーが拓く新世紀」(日本放送出版協会)などがある。
著者のブログ
清水和夫の【みんカラ】ブログ「頑固一徹カズです!」
清水和夫の動画サイト「Start Your Engines」
These are our most popular posts:
二次空気導入装置 - Wikipedia
二次空気導入装置(にじくうきどうにゅうそうち、Secondary air injection)とは、内燃 機関に装備される排ガス規制への対策機器である。 ... 未燃焼ガスが多く発生しがちで あった1960年代から70年代初期にかけての車両の排気ガスを大幅に減少させる効果 があった。 ... サーマルリアクターとは、日本車のガソリンエンジンで各種の触媒の利用 が広まる以前に用いられていた二次空気導入装置の ... Jeep Adventures Under the Hood A detailed guide on the CEC system and how to tune it; Details with diagrams of the ... read moreISO 14001規格の概要説明[4.3.1 環境側面] こちらISO事務局
都市ガスに臭いを付けてるようにガソリンも灯油とかと間違わないように着色されてる だけ海外だと無職なんじゃない? ... ゴミ燃やすのに、ガソリン掛けて燃やそうとしてた ときビニールの上にガソリン溜まってたみたいで火をつけた瞬間爆発したマジでびびった .... 外でも気化したガソリンが溜まりやすい環境なら爆発する。 ... 初期の炎が液体燃料 を沸騰させる熱量を持っていれば、ガソリンに限らず、どのような液体燃料でも爆発的な 燃焼を起こす。 ..... 第4類危険物は基本窒息効果による消火だからな! read moreガソリンで満たした水槽に火の着いたマッチを投げ入れてみた
ガソリンタンクに何かを入れて、燃費アップを期待するようなものではありません。 ご覧 下さい、 .... 特殊な塗装をした結果、最初の1か月目からその効果が表れ始め、その後5 ヶ月間の平均をとると、 ... また、ガソリンを燃やすには、酸素が必要ですが、空気中に 酸素は20%しかありません。 ... 地球環境を守るため、運送会社にとって、必須の 取り組みと言えるでしょう。 ... エアクリーナーとマフラーに、一体、どのような物を塗りつけ たのか? ... ほかにもカメラのレンズ、IT機器、美術館では、絵の復元などにも使われ ています。 read more第22回 世界一クリーンな日産のディーゼル技術 - ECO JAPAN〈エコ ...
一方、ガソリンエンジンはあらかじめ空気と燃料を混ぜた状態で燃やすので炎が青く、 ススが出ません。 ... ピストンが下がり始めたところで噴出して、なるべく温度を下げて から火をつけようというわけです。 ... NOxの排出抑制や燃焼速度を遅らせる効果がある 。 ... ジャーナリストとしては国内だけでなく、海外にも活動を広げ、自動車の運動理論、 安全、環境、ITSのみならず、自動車国際産業 ... ITマネジメント──"高付加価値経営" のカギ ... read more
0 コメント:
コメントを投稿