「ウサギは、本来よほどのことがなければ人間を噛みません」
「ウサギが噛むのは、恐怖にかられたときなど、理由があるときです」
こういう文章を、ウサギの飼育書などでみかけたことがあると思います。
まさしくその通りなのだけど、これを、
「つまり、私がウサギを虐めなければ、ウサギは噛まないのね?」
と思ってしまうと、それは違います。
思いがけず噛まれてしまうと、何か私がウサギに酷いことをしたのか? と落ち込むかもしれません。
どうしてこんなに可愛がっているのに、と悲しくなるかも知れません。
でも、そんな必要は全然ないのです。
だって、ウサギは、本来、噛む生き物なんですから(笑)。
噛むウサギと付き合うには、まず、
「ウサギが噛むのは鋭い歯を持つ動物として自然なことで、理由がある。それは必ずしも、人間が簡単に想像できるような理由ではないし、ウサギが「噛む」ということも、ウサギと付き合って行く上で大切なコミュニケーションの一つだ」
と肝に命じる必要があります。
その上で、ウサギの流儀に則って、むやみに噛むのはやめてくれ、と伝える必要があるのです。
ウサギだって、いつもウサギ同士で噛み付き合っているわけではありません。
つまり、ウサギの流儀できちんと伝えれば、噛むのをやめてくれる、ということです。
注)しつけのつもりでウサギを叩いたり、蹴ったりは絶対にしてはいけません(たとえどんなに加減していても、です)。
叩かれる、蹴られる、というコミュニケーションは、ウサギ同士には存在しませんので、こちらのメッセージを全く理解しません。
たまに掲示板などでそう書いている人がいますが、たまたまそのウサギが怯えて大人しくなっただけで、ウサギはその虐待の恐怖は絶対忘れないし、そうされた人間にも気を許しません。
むしろ、ウサギによっては、その恐怖から身を守るため、次から更に状況が悪化することもあります。
これは我が身を振り返って思う話なのですが……。
実は、最初にウサギを飼い始めたとき、私はそのことがよくわかっていなかったのです。
つまり、ウサギを飼うのに、噛まれる覚悟ができていなかった、というか(笑)。
「噛む」こともウサギの意思表示の一つなのに、それを想定せずに逃げ回っていたので、何故「噛む」のかも分からないし、「噛まないで」というこちらの意思表示も伝えられなかったわけです。
どうやったらウサギのメッセージを理解出来るか、ウサギの流儀で「噛まないで」と伝えられるか、随分試行錯誤しました。
自慢ではないですが、私は結構うちのウサギ達に噛まれています。
が、最近は、一匹につき一度噛まれたら、それ以後はほとんど噛まれなくなりました。
というか、一匹につき一回噛まれるのは、もうウサギの飼い主としての義務だと腹をくくったら、そうなった、というわけです。
以下、噛むウサギの扱いについて、私なりに学んだことをまとめておこうと思います。
以下、噛まないようにする躾についても書いてますが、これは獣医やHRSが勧める方法というわけではありません。あくまで、私個人の体験をもとに書いています。お試しになる場合は、自己責任でお願いします。万が一怪我をされても、本blogの管理人は責任を負いません。
噛まれる恐れがある時は、手袋をして、長袖長ズボンの分厚い服を着るなどの対策をして下さい。
特に、フレミッシュジャイアント、日本白色など大型のウサギは、ウサギにしたらかなり加減して噛んでいるつもりでも、大きな傷をのこすことがあります。
なお、HRSのアーカイブにも、この問題に関する記事があります。
幸いなことに、この記事には日本語訳があります!
色々参考になりますので、是非ご覧下さい。
うさぎの攻撃性について
(エンコードに失敗して文字化けする場合は、エンコードの設定をISO-2022JPにすると治ります)
以下、長くなりましたので項目ごとにリンクを張ってみました。
大体、上から下に行くにつれて、噛み方が穏やかになるように並べています。
0)ひどく強く噛むウサギの場合
1)命にかかわる強い恐怖を感じたとき
2)足が弱っていて、本来逃げられるものを逃げきる自信がウサギにないとき
3)テリトリーを犯されたとき
4)人間から嫌なことをされたとき
5)特定の人間に敵意を抱いているとき
6)人間より自分(ウサギ)の方が偉いと思っているとき
7)人間と自分(ウサギ)の順位を決めようとしているとき
8)機嫌が悪いとき
9)人間の注意をひきたいとき
番外:
仔ウサギの場合(生後3ヶ月くらいまで)
0)ひどく強く噛むウサギの場合
まず最初に、もっとも難しい例から。
小指を噛まれて、手を慌てて引き上げたら、その手にウサギがぶら下がってきた、とか、とにかく人間とみるなり飛びかかって来る、といったタイプのウサギです。
「ウォーターシップダウンのウサギ達」という、イギリスのリチャード・ アダムスという作家が書いた児童文学があるのですが、この中に、犬に立ち向かっていく独裁ウサギの「コーンウォード将軍」というのがいますので、このタイプを「コーンウォード将軍」と呼ぶことにします。
ウサギにも、相手が人間だろうが何だろうが、自分から猛烈に突進して噛み付き、それこそ人間の肉に歯をぎっちり食い込ませ、流血しても絶対離さない、という凶暴な子がいるわけですね。
彼らが生まれつき凶暴であったかというと、そうではなく、人間に散々酷い目に遭わされたため身を守るためにそうなったケースが殆どです。
とはいえ、元々非常に縄張り意識が強い性質を持って生まれる子も僅かながらいます。
虐待された経験がなくとも、そうなってしまう可能性はまったくゼロというわけではありません。
このタイプの子の性格改善は、かなり大変かつ長期間の作業になると思われます。飼い主は噛まれても良いように服、長靴、軍手などで厳重に装備し、毎日根気よく声をかけ、人間が側にいることに慣らし、少しずつ信頼関係を築いていくしかありません。
実際、アメリカでもこういった子はいて、そのうちのかなりの数は飼い主が面倒を見きれず、シェルターに持ち込まれるようです。
こういう性格の子は、シェルターでもなかなか引き取り手が現れませんから、結局安楽死の可能性が高くなります。
運良くHRSに引き取られた子たちも、ウサギに慣れたHRSボランティアの手をもってしても、性格改善には時間がかかるようです。
また、去勢や避妊で落ち着く可能性は低くはないようです。
(変わらないこともあり得ます。とくに思春期を大幅に過ぎて手術した場合など)
ウサギ初心者の方は、まず、こういう難しい性格の子をひきとらない、という選択も大事だと思います。
HRSでは、その意味も含めて、ウサギ初心者の場合特に、ペットショップで性格の分からない子を買うより、穏やかな大人のウサギを里子に迎える方が良い、と勧めています。
こちらのTVで、やはりこのタイプのウサギに噛まれて足が傷だらけ、というご夫人の相談に答える番組がありましたが、まず大事なことは、飼い主が噛まれないように、エクササイズパンなどで物理的に障壁をつくることだ、とのことでした。
それから、ウサギの居る場所にいくときは、噛まれても怪我をしないように、厚手の服や長靴などでプロテクトする。
その上で、ウサギがもっと人間にフレンドリーになるように時間をかけて変えていく 、とのことです。
こういった対策は、ウサギを愛している人にとっては、壁をつくるようで悲しいかもしれませんが、「噛まれても私はあなたを虐めないわ」という犠牲的精神は、残念ながらウサギには通用しません。
まず、噛む回数を減らし、ウサギの「噛んでもあの人間は怒らなかった」という誤った刷り込みをなくすことが大事ですので、バリバリに重装備して可愛がってあげて下さい。
HRSの以下の記事の一番最後の項目も参考にされたら良いと思います。
うさぎの攻撃性について
(エンコードに失敗して文字化けする場合は、エンコードの設定をISO-2022JPにすると治ります)
1)命にかかわる強い恐怖を感じたとき
まず、1)と次の2)はほぼ同じくらいの噛み方だと思います。
1)は、ウサギが一度家に慣れてしまえば滅多に起こらないでしょう(慣れるまでは、ウサギにとっては全てが命がけですので、人間にその気がなくても1に該当する場合もあり得ます)。
たとえば、家の中に犬が入り込んでウサギを追い回した、などの事件が起こった直後は、パニックになって人間でも見境なく噛み付く可能性があります。
勿論、言うまでもないことですが、犬の代わりに人間が追い回しても同じことです。
人間にしたら、ケージに戻す為に追いかけているつもりでも、ウサギは命がけで逃げています。
どんな場合でも、ウサギを追いかけてはいけない、と肝に命じて下さい。
ウサギを捕まえる時は、逃げ回る前に捕まえます。
逃げられたら、その時は諦めて時間をあけ、落ち着いてから再度試して下さい。
ウサギは、自分のパニックに煽られて更にパニックになる傾向があります。追いかけられているうちにパニックがどんどん膨れ上がり、最悪の場合どこかに激突して骨折、� ��いうのも有り得ます。
さて、こういった状態でウサギが噛んだ時は、ウサギはパニックに陥っていますから、怒っても余計に事態を悪化させるだけですし、躾も無理です。
そういうふうに噛まないようしつけようとするのではなく、そういうふうにウサギが脅かされない環境を作ることが唯一の解決策です。
2)足が弱っていて、本来逃げられるものを逃げきる自信がウサギにないとき
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