噛むウサギの扱いについて | The Garden Of Ethel
「ウサギは、本来よほどのことがなければ人間を噛みません」
「ウサギが噛むのは、恐怖にかられたときなど、理由があるときです」
こういう文章を、ウサギの飼育書などでみかけたことがあると思います。
まさしくその通りなのだけど、これを、
「つまり、私がウサギを虐めなければ、ウサギは噛まないのね?」
と思ってしまうと、それは違います。
思いがけず噛まれてしまうと、何か私がウサギに酷いことをしたのか? と落ち込むかもしれません。
どうしてこんなに可愛がっているのに、と悲しくなるかも知れません。
でも、そんな必要は全然ないのです。
だって、ウサギは、本来、噛む生き物なんですから(笑)。
噛むウサギと付き合うには、まず、
「ウサギが噛むのは鋭い歯を持つ動物として自然なことで、理由がある。それは必ずしも、人間が簡単に想像できるような理由ではないし、ウサギが「噛む」ということも、ウサギと付き合って行く上で大切なコミュニケーションの一つだ」
と肝に命じる必要があります。
その上で、ウサギの流儀に則って、むやみに噛むのはやめてくれ、と伝える必要があるのです。
ウサギだって、いつもウサギ同士で噛み付き合っているわけではありません。
つまり、ウサギの流儀できちんと伝えれば、噛むのをやめてくれる、ということです。
注)しつけのつもりでウサギを叩いたり、蹴ったりは絶対にしてはいけません(たとえどんなに加減していても、です)。
叩かれる、蹴られる、というコミュニケーションは、ウサギ同士には存在しませんので、こちらのメッセージを全く理解しません。
たまに掲示板などでそう書いている人がいますが、たまたまそのウサギが怯えて大人しくなっただけで、ウサギはその虐待の恐怖は絶対忘れないし、そうされた人間にも気を許しません。
むしろ、ウサギによっては、その恐怖から身を守るため、次から更に状況が悪化することもあります。
これは我が身を振り返って思う話なのですが……。
実は、最初にウサギを飼い始めたとき、私はそのことがよくわかっていなかったのです。
つまり、ウサギを飼うのに、噛まれる覚悟ができていなかった、というか(笑)。
「噛む」こともウサギの意思表示の一つなのに、それを想定せずに逃げ回っていたので、何故「噛む」のかも分からないし、「噛まないで」というこちらの意思表示も伝えられなかったわけです。
どうやったらウサギのメッセージを理解出来るか、ウサギの流儀で「噛まないで」と伝えられるか、随分試行錯誤しました。
自慢ではないですが、私は結構うちのウサギ達に噛まれています。
が、最近は、一匹につき一度噛まれたら、それ以後はほとんど噛まれなくなりました。
というか、一匹につき一回噛まれるのは、もうウサギの飼い主としての義務だと腹をくくったら、そうなった、というわけです。
以下、噛むウサギの扱いについて、私なりに学んだことをまとめておこうと思います。
以下、噛まないようにする躾についても書いてますが、これは獣医やHRSが勧める方法というわけではありません。あくまで、私個人の体験をもとに書いています。お試しになる場合は、自己責任でお願いします。万が一怪我をされても、本blogの管理人は責任を負いません。
噛まれる恐れがある時は、手袋をして、長袖長ズボンの分厚い服を着るなどの対策をして下さい。
特に、フレミッシュジャイアント、日本白色など大型のウサギは、ウサギにしたらかなり加減して噛んでいるつもりでも、大きな傷をのこすことがあります。
なお、HRSのアーカイブにも、この問題に関する記事があります。
幸いなことに、この記事には日本語訳があります!
色々参考になりますので、是非ご覧下さい。
うさぎの攻撃性について
(エンコードに失敗して文字化けする場合は、エンコードの設定をISO-2022JPにすると治ります)
以下、長くなりましたので項目ごとにリンクを張ってみました。
大体、上から下に行くにつれて、噛み方が穏やかになるように並べています。
0)ひどく強く噛むウサギの場合
1)命にかかわる強い恐怖を感じたとき
2)足が弱っていて、本来逃げられるものを逃げきる自信がウサギにないとき
3)テリトリーを犯されたとき
4)人間から嫌なことをされたとき
5)特定の人間に敵意を抱いているとき
6)人間より自分(ウサギ)の方が偉いと思っているとき
7)人間と自分(ウサギ)の順位を決めようとしているとき
8)機嫌が悪いとき
9)人間の注意をひきたいとき
番外:
仔ウサギの場合(生後3ヶ月くらいまで)
0)ひどく強く噛むウサギの場合
まず最初に、もっとも難しい例から。
小指を噛まれて、手を慌てて引き上げたら、その手にウサギがぶら下がってきた、とか、とにかく人間とみるなり飛びかかって来る、といったタイプのウサギです。
「ウォーターシップダウンのウサギ達」という、イギリスのリチャード・ アダムスという作家が書いた児童文学があるのですが、この中に、犬に立ち向かっていく独裁ウサギの「コーンウォード将軍」というのがいますので、このタイプを「コーンウォード将軍」と呼ぶことにします。
ウサギにも、相手が人間だろうが何だろうが、自分から猛烈に突進して噛み付き、それこそ人間の肉に歯をぎっちり食い込ませ、流血しても絶対離さない、という凶暴な子がいるわけですね。
彼らが生まれつき凶暴であったかというと、そうではなく、人間に散々酷い目に遭わされたため身を守るためにそうなったケースが殆どです。
とはいえ、元々非常に縄張り意識が強い性質を持って生まれる子も僅かながらいます。
虐待された経験がなくとも、そうなってしまう可能性はまったくゼロというわけではありません。
このタイプの子の性格改善は、かなり大変かつ長期間の作業になると思われます。飼い主は噛まれても良いように服、長靴、軍手などで厳重に装備し、毎日根気よく声をかけ、人間が側にいることに慣らし、少しずつ信頼関係を築いていくしかありません。
実際、アメリカでもこういった子はいて、そのうちのかなりの数は飼い主が面倒を見きれず、シェルターに持ち込まれるようです。
こういう性格の子は、シェルターでもなかなか引き取り手が現れませんから、結局安楽死の可能性が高くなります。
運良くHRSに引き取られた子たちも、ウサギに慣れたHRSボランティアの手をもってしても、性格改善には時間がかかるようです。
また、去勢や避妊で落ち着く可能性は低くはないようです。
(変わらないこともあり得ます。とくに思春期を大幅に過ぎて手術した場合など)
ウサギ初心者の方は、まず、こういう難しい性格の子をひきとらない、という選択も大事だと思います。
HRSでは、その意味も含めて、ウサギ初心者の場合特に、ペットショップで性格の分からない子を買うより、穏やかな大人のウサギを里子に迎える方が良い、と勧めています。
こちらのTVで、やはりこのタイプのウサギに噛まれて足が傷だらけ、というご夫人の相談に答える番組がありましたが、まず大事なことは、飼い主が噛まれないように、エクササイズパンなどで物理的に障壁をつくることだ、とのことでした。
それから、ウサギの居る場所にいくときは、噛まれても怪我をしないように、厚手の服や長靴などでプロテクトする。
その上で、ウサギがもっと人間にフレンドリーになるように時間をかけて変えていく 、とのことです。
こういった対策は、ウサギを愛している人にとっては、壁をつくるようで悲しいかもしれませんが、「噛まれても私はあなたを虐めないわ」という犠牲的精神は、残念ながらウサギには通用しません。
まず、噛む回数を減らし、ウサギの「噛んでもあの人間は怒らなかった」という誤った刷り込みをなくすことが大事ですので、バリバリに重装備して可愛がってあげて下さい。
HRSの以下の記事の一番最後の項目も参考にされたら良いと思います。
うさぎの攻撃性について
(エンコードに失敗して文字化けする場合は、エンコードの設定をISO-2022JPにすると治ります)
1)命にかかわる強い恐怖を感じたとき
まず、1)と次の2)はほぼ同じくらいの噛み方だと思います。
1)は、ウサギが一度家に慣れてしまえば滅多に起こらないでしょう(慣れるまでは、ウサギにとっては全てが命がけですので、人間にその気がなくても1に該当する場合もあり得ます)。
たとえば、家の中に犬が入り込んでウサギを追い回した、などの事件が起こった直後は、パニックになって人間でも見境なく噛み付く可能性があります。
勿論、言うまでもないことですが、犬の代わりに人間が追い回しても同じことです。
人間にしたら、ケージに戻す為に追いかけているつもりでも、ウサギは命がけで逃げています。
どんな場合でも、ウサギを追いかけてはいけない、と肝に命じて下さい。
ウサギを捕まえる時は、逃げ回る前に捕まえます。
逃げられたら、その時は諦めて時間をあけ、落ち着いてから再度試して下さい。
ウサギは、自分のパニックに煽られて更にパニックになる傾向があります。追いかけられているうちにパニックがどんどん膨れ上がり、最悪の場合どこかに激突して骨折、� ��いうのも有り得ます。
さて、こういった状態でウサギが噛んだ時は、ウサギはパニックに陥っていますから、怒っても余計に事態を悪化させるだけですし、躾も無理です。
そういうふうに噛まないようしつけようとするのではなく、そういうふうにウサギが脅かされない環境を作ることが唯一の解決策です。
2)足が弱っていて、本来逃げられるものを逃げきる自信がウサギにないとき
太陽は土天候にどのような影響を与えるか
一方、命が脅かされるというほどの恐怖でもないはずなのに、かなりひどく噛まれるケースがあります。
たとえば、おやつを手の上に載せて顔の前に差し出したら、思い切り噛まれた、あるいはケージの中に手を突っ込んで撫でようとしたら、血が出るほど噛まれた、など。
ケージの中に手を突っ込まれるのは、嫌いな子は嫌いなので、まだウサギが飼い主を信頼していない場合には結構ひどく噛まれる場合がありますが、問題はおやつをあげただけなのに、というケースです。
おいしいものをあげてるのに、どうして噛まれなくてはいけないのか?
あげた方はショックでしょう。実際、最初に噛まれた時は悲しくて泣いてしまった、という人もいます。
このことには、いくつかの要素が絡み合っています。
まず、ウサギは、目の前など、近くのものはあまりよく見えません。
ですので、いきなり目の前に手をかざされると、びっくりします。
おやつをあげるまえに、ウサギの前にひざをついて身をかがめ、ゆっくり遠くから手を差し出すようにする、などすると、あまり脅かさずにすみます。
あるいは、その子が、ご飯に対して執着が強い場合もあります。ご飯やおやつに飛びつくようにして食べる子は、目測をあやまって人間の手も思い切り噛んでしまうことがあります。
これは、ウサギの健康を考えるときには、決してマイナスではありません。
なにしろ、ご飯が食べられなくなったら、ウサギはあっという間に弱ってしまいますから。
そういうふうにご飯に執着のある子は、いざ体調を崩したときにも、比較的がんばってご飯を食べてくれます。つまり、生きようとする力が強いのです。
しかし、だからといっていつまでも噛まれるのではたまったものではないですね。
このケースでも、一度ウサギとの信頼関係が築ければ、ウサギは目測を誤って噛んではいけない、ということを学びます。そのためには、噛まれた瞬間に「痛い!」などと普段より大きい声をあげる(慌てて手を振り払うのは駄目、ウサギがびっくりしてしまい、何がいけなかったのかが有耶無耶になってしまいます)、あいている方の手を床にたたきつけてスタンピングの音を出すなど、人間は噛まれたら痛いのだ、ということをきちんと教えてやる必要があります。
すると、段々用心するようになります。
もっとも、ご飯と間違って噛む場合は結構強く噛みますから、まずは手袋をしておやつをあげる、いきなりつっかかってくる間はあま� ��小さなものは手ではやらない(レーズンや乾燥パインの欠片など)、野菜などでも、セロリなど柄の長いものを手であげる、などの対策をした方が良いと思います。
そして最後は、その子がずっと狭いケージに入れられていて、足が弱っている場合です。
このことを書いている飼育書は残念ながら見たことはないのですが、私自身、家のウサギや、HRSのウサギを見ていて、いきなり突撃して本気で噛み付く子の8割は、足の筋力にも問題がある、と思っています。
つまり、ウサギは本来、怖いことからは逃げて命を守りますが、その足が弱っているので逃げ切る自信がなく、爪と歯に頼らざるを得ないのです。
そのことに気づいたのは、うちにえせるが来た後です。
えせるは前の飼い主がどうもケージに入れっぱなしにしていたらしく、足は既に骨折して曲がって固まり、家に来た時は、フローリングの床でまともに座れないほど筋力が低下していました。
すると、足が強いろし太なら、すっと身をかわして避けるようなところを、ウサパンチで迎撃し、噛み付こうとするのです。
その間、下半身は床につけられたままです。
これはウサギとしては不自然だと思い、えせるに運動させて足腰を鍛えてやったら、手を前にかざした瞬間に飛び出す傾向は足が強くなるにつれてどんどん減ってきました。
(代わりに、嫌なことがあれば身を躱して逃げるようになりました)
また、おやつをやろうとすると、やはり同様に突撃して、指に噛み付く傾向もありました。
(えせるはガリガリに痩せていたので、あまりご飯を食べさせてもらえていなかった可能性があります。こういう子も、ご飯に執着が強くなります)
当時はわざと噛んだのだと思いましたが、今にして思えば、足や全身の筋肉のコントロールがうまくいかず、目測を誤っていた可能性がかなり高いと思います。
人間だって、普段から筋肉を使っていなければ、コントロールはできませんよね。
私がウサギから噛まれた傷で一番ひどかったのは、このときのえせるにやられた傷です。
当時はまだウサギとの付き合いも手探りでした。
おやつをやると突撃してくることは分かっていたのですが、ためしにわざと噛ませて、そのと� ��に叱ってみよう、と思ったら、流血沙汰になってしまったのです。
はっきりいって痛かったですが、血が溢れているなら、むしろそれを利用しようと思いました。
えせるの鼻先に血まみれの指を持っていって、血の匂いを覚えさせ、頭をおさえつけて大声で叱ったのです。
その日を境に、えせるは人間が手を前に出しても絶対に噛まない子になりました。
しかし、今にして思うと、少々お灸がきつすぎて、えせるは随分怖い思いをしたと思います。
(どのくらい怒ればいいかもよくわかっていませんでしたから、延々何分も怒ってしまいましたし。)
幸い人間になついてくれたから良かったですが、人間に反抗する気がなかったのにこういう厳しい躾をすると、人間を怖がってしまう恐れがあります。
この場合(つまりウサギの方に悪意がない場合)には、多少時間はかかっても、まず手袋をして、噛まれる度に「痛い!」と声を上げる方法の方が良いと思います。
HRSでも、大きい子の中には、ケージが狭すぎて十分に運動ができず、この例にあてはまると考えられる子がいます。
掃除のときに、一週間に一度程度ではありますが、広い場所に出してやって足腰を使わせてやったら、その傾向もなくなってきました。
つまり、この場合の解決は比較的簡単で、要は頻繁に外に出し、足腰を鍛えてやれば、その突撃の頻度は減ります。
3)テリトリーを犯されたとき
3〜6の噛み方の激しさの順位は、ウサギによって上下すると思います。大雑把にいえば、1、2よりはマシ、8、9よりは強く噛む、というあたりでしょうか。
さて、ウサギは、基本的にテリトリーにうるさい生き物です。
人間にしたら、「なんでケージに手をいれたくらいで噛むの!」と思うかもしれませんが、これを人間の代わりに、同族のウサギを入れたらどういうことになるか。
その二匹が雄と雌で、そのまま繁殖行動になだれ込むのでなければ、十中八九、噛み付き合い、引っ掻き合い、蹴り合いの大喧嘩になります。
下手をすると、殺し合いの喧嘩に発展します。
そのくらい、テリトリーを犯される、というのは、ウサギにとって嫌なことなわけです。
「いや、人間相手ならそこまでやらないでしょ!」と思うかもしれませんが……
残念ながら、犬猫とちがって、ウサギはそこまで人間を別格扱いしていないのです。
では、ウサギがケージの中の人間の手を噛まないのはなぜか。
それは、人間の方が順位が上で、そんなことをすれば酷い報復をされる、と分かっているからかもしれないし、既にその人間とテリトリーをシェアすることを認めたからかもしれません。
しかし、いずれにしても、それはウサギが飼い主との関係から「学んだ」ことであって、人間という違う種族にテリトリーを適用しないから、ではないのです。
すなわち、そこには、「噛ませない」という教育が必要なのですが、残念ながら、このことを学んでくれるウサギと、なかなか学んでくれないウサギがいます。
学んでくれるウサギは、項目7に書いてある方法などで、一度人間の方が順位が上だと納得すると、噛むのを控えてくれる事が多いです。
しかし、その一方で、ケージの中に手を入れさえしなければ絶対に噛まない子なのに、ケージに手を突っ込むのだけはどうしても駄目、という子もいます。
この後者の場合は、人間が譲った方が往々にしてうまくいきます。
つまり、ケージからの出入りはウサギに任せて、飼い主は扉を開け閉めするだけ、ということです。
掃除や餌やりは、ウサギがケージの外に出ている間にやります。
本当は、ケージからだっこして出してやれば、だっこの訓練にもなるのですが、そのために毎回血だらけになっては身がもちませんので……。
もう一つ、私は個人的に、ケージの大きさがこの行動に影響しているケースがある、と思っています。
いわゆるウサギ用ケージは、ウサギが1匹安心して暮らせる最小限のスペースしかありません。
つまり、外敵が侵入してきても、身を躱すスペースすらないのです。
これを、エクササイズパンで囲った敷地くらいの大きさにすると、そういう子のうちいくらかは、人間の手が入って来た場合、手の届かない場所に逃げます。
その場合、嫌がられていることに変わりはないですが、少なくとも噛まれずには済みます。
ですので、「ケージに手を入れるととびかかってくるので、掃除や餌やりが怖い。いちいち外に出してやる時間もないし……」という方は、もしかしたら、こういう広めの家を用意してやれば、問題が解決するかもしれません。
エクササイズパンでウサギの家を作る方法については、こちらの記事をご覧ください。
逆に、逃げる場所があるのに飛びかかってくる場合は、ウサギの神経がテリトリーを守ることに集中している場合です。
たとえば、家に新たにウサギが増えたときなどは、自分のテリトリーを守るために、こういう行動が見られることがあります。
常習的にそういう行動が見られるのでなければ、特に注意する必要はないと思います。
飛行中にどのように、宇宙船の変更
なお、このタイプの子をケージの中でも噛まない訓練をすることは、不可能ではないですが、噛まれても動じない覚悟と手袋+長袖の服等の準備が必要です。
(噛まれて手をひっこめると、ウサギは噛めば撃退できると学び、更に状況が悪化します。)
また、テリトリー意識は、生殖機能を有している方が強い傾向があります。
避妊、去勢手術で行動が抑えられることもあります。
「人間の都合で、手術なんて……」と思うかもしれませんが、ウサギには失ったものをいつまでも惜しむ思考回路はありません。人間のように、過去は振り返りません。なければないで、どんな状況でも楽しく生きて行くたくましさがあるのです。
ですので、手術が成功してしまえば、むしろ人間とも仲良くやれるチャンスが広がります。
問題は、麻酔で命を落とす可能性がまったくゼロというわけではない、ということですが、これは獣医師さんがいかにウサギに慣れているかで大きく変わります。
近くにウサギに慣れた獣医師さんがいるなら、検討してみても良いのではないでしょうか。
4)人間から嫌なことをされたとき
ウサギを可愛がっている人が、ウサギが嫌なことをするわけがない、と思うかもしれませんが……。
残念ながら、我々は人間であって、ウサギの気持ちを100%理解してやることは出来ません。
ウサギに慣れた人でも、「何?! 何が気に入らないの?!」ということは頻繁にあります。
たとえば、水ボトルの配置を変えたのが気に入らない、とか。
ご飯が1時間早かったのが気に入らない、とか。
また、あまり体調がよくないとき、お腹の具合がいまひとつ、というときは、普段大好きな撫でるのだって気に入らない、ということもあります。
(体調が悪いと逆に撫でてもらいにくる子もいますが。)
Wisconsin HRSの代表者が言っていたことですが……。
「不思議の国のアリス」に時計をもったウサギが出てきますよね。
ルイス・キャロルがどのくらいウサギについて詳しかったかは分かりませんが、これが彼の観察の結果ならとても鋭い、と言っていました。
つまり、ウサギは、そのくらい時間に厳しいのです。
毎日のルーチンがきっちり決まっています。
ご飯をいつ食べるか、外に遊びにいくのはいつか。
早くても、遅くても、ウサギは不安になる、とのことです。
不安になれば、いつもより攻撃的になることもあるかも知れません。
もっとも、イヤなことをされる度に噛まれるのでは、人間はたまりません。
殆どの場合、ウサギは嫌でも我慢するか、逃げます。
積極的に噛んでくるのは、「イヤなこと」で済まずに恐怖を感じたか、何かしらストレスがたまっているか、もしくは6)に記すように、ウサギが人間より偉いと勘違いしているときです。
前者なら、噛むようになった出来事の前後で変わったものをひとつひとつもとにもどし、どれが原因かをつきとめます。
後者の場合は、6、7番目の項目をご覧下さい。
5)特定の人間に敵意を抱いているとき
人間でも、「あの人キライ」という感情はありますが……。
ウサギにも、特定の人に強い敵意を抱くことがあります。
過去にその人間に虐待されたから、などの分かり易い理由ならばまだ良いのですが、残念ながら「何も悪い事はしていないのに、なんでこの人だけ駄目なの?!」というケースもあります。
このあたり、ウサギの思考を理解するのは容易ではありません。
過去に虐待をうけた、などの特殊なケースは、むしろ1番に該当しますので、ここでは割愛して、何故だか分からないけどウサギに嫌われている、というケースを考えます。
大別すると、
- 過去にその人がウサギの前に現れたとき、何か嫌なことがあった
- ウサギが人間に嫉妬しているケース
- ウサギがその特定の人間より上の順位だと思い込んでいるケース
というあたりでしょう。
まず先に3.については、次の6)で説明していますので、そちらをご覧下さい。
ここでは1.と2.のケースのみ考えます。
1.の方は、人間にとっては、本当に些細なことであるかも知れません。
たとえば、ウサギはシュッと物がこすれる音や、フライパンで野菜を炒めたりするときのジュージュー言う音がとても嫌いです。
いわゆる「しゅーっ」という空気音ですね。
これを聞くと、慣れていないウサギはケージ中を体当たりして大パニックになります。
私は勝手に蛇の音に似ているのかな、と思っていますが、とにかく、これを嫌がらないウサギには今のところお目にかかったことがありません。
というわけで、たとえば、カサカサいう素材のウィンドブレーカーやジャージみたいなものが擦れる音もこれに相当します。
殆どの場合は、ウサギは逃げると思いますが、恐怖のあまり牙をむくことも有り得ますので、ウサギに近寄るときは、音をたてない服にすべきと思います。
また、その時の恐怖の記憶で、「あの人間は危険」となり、次に会ったときにいきなり噛み付いた、という事も有り得ます。
これは、「音」という一例にすぎず、ウサギが人間を怖がる要素は匂いや仕草など、いくらでもあります。特に、急に体を動かしたり、急に距離をつめて近づいたりする傾向のある人、声の大きい人、歩くときなどに足音を大きくたてる人などは、ウサギに嫌われやすい傾向があると思ってよいと思います。
つぎは2.ですが。
ウサギの中には、飼い主が大好きで、その大好きが高じた結果、飼い主と自分との間に入ろうとする人間に嫉妬する子がいます。
いや、嫉妬というのは人間的な解釈ですね(笑)。
現在のテリトリー(自分がいる部屋)を自分と飼い主との共同テリトリーとみなし、外敵を排除しようとする、ということなのかもしれません。
もっといえば、自分のパートナーを、テリトリーに侵入してきた人間から守ろうとする動きなのかもしれません。
もしかしたら、本当に嫉妬、ということも有り得ますが……。
現在WHRSにも、これに近い子がいます。
噛み癖があるため、アダプションに出すことができず、Sanctuary BunnyとしてHRSで面倒を見ている子です。
女性のSさんが主に使っている部屋で放し飼いになっているのですが、何故か、Sさんには甘えるのに、旦那さんのG氏には飛びかかるのだそうです。
ご夫婦でHRSの活動をして15年、数百匹のウサギ達と接してきたベテランでも、ウサギの「嫌い!」には手を焼く、ということでしょうか。
最近ようやく、睨むだけで噛むのはやめてくれるようになった、と言っていましたが、私が知る限りその子はもう何年もHRSに居ますので、一度こうなると仲良くなるのは大変かも知れません。
飼い主としては、そこまで自分だけを信頼してくれるのは嬉しくもありますが、現実問題として、家族に牙をむく場合などはこのままでは具合が悪い、ということもあると思います。
その場合は、一度築いたテリトリーを解消し、家族全員が行き来する居間などにケージを移して、家族にも慣れさせる、あるいは去勢/避妊されておらず、手術に耐えられる若さなら去勢/避妊手術をしてみる、などの対策が必要かと思います。
個人的な印象ですが、ウサギは人間の性別を理解している、と思います。
特に去勢していない雄のウサギにとって、人間の女性は大きなメスウサギに見えているのじゃないか、と思う瞬間が結構あります。
言葉で表現するのは難しいのですが、なんというか、「うっとり」といった表情で手を舐めて来たりとか。
だとすれば、一度仲良くなったメスウサギ(人間)に近づく男性は、牙をむいてでも追い払わなければならない存在です。
こういった表情は、生殖機能を失うとしなくなるので、家族や友人などにとびかかる原因がそれなら去勢/避妊手術が有効である可能性はあると思います。
なお、一度嫌われてしまった人が、怯えて噛まれそうになった時に手をひっこめたりすると、ウサギはその人間より自分が強い、と思い込んで、次はもっと行動がエスカレートしますので、ウサギに近づくなら予め軍手などで装備する方が賢明です。
また、嫌われた理由がどうあれ、噛む理由が恐怖ではなく、むしろ次の6、7番に該当する、と思われるケースであれば、再度人間が主導権を取り返して噛まれなくなる可能性も残っています。
6)人間より自分(ウサギ)の方が偉いと思っているとき
さて、ウサギが人間をナメてしまう、というケースですが。
実は、これでウサギに手を焼いている人は結構いるのではないかと思います。
犬ならば、勿論しつけが必要ですが、ウサギは犬をしつけるような感覚で躾けると、逆に人間を怖がってしまいます。
私自身、「1ウサギにつき1回噛まれる覚悟」を決める前は、どうしたものかな、と随分悩みました。
穴ウサギはゆるやかながら社会性を持ちますから、ウサギ社会の中では完全に上下の序列が決まっています。噛むのは、殆どの場合、上の順位のウサギが、下の順位のウサギの行動を気に入らなかったときです。(下の順位のウサギが上の順位のウサギを噛むのは、下克上を狙うときか、身の危険を感じたときです。ですので、もっと必死な噛み方になります)
つまり、人間を怖がっているわけでもないのに噛みついてくる、というのは、ウサギが自分を人間より上の順位と思っている、ということになるわけです。
アマガエル属は何ですか
何故そんな思い込みをしてしまったかというと、殆どの場合、最初にウサギが順位決定戦を挑んできたとき(大抵は、人間の衣服を掘る、ちくっと薄く噛んで来る)に、人間の側が驚いて逃げてしまった、というのが発端です。
噛まれて逃げたということは、ウサギ社会では負けを認めたことになりますので、ウサギにしてみたら、自分が上なのは当然、ということになってしまうわけです。
このケースで噛まれる標的になるのは、圧倒的に女性が多いそうです。
つまり、女性の方が、噛まれたことにショックで逃げてしまったり、及び腰になってしまう、ということでしょうか。
ひどい例では、台所まで侵入して、夕ご飯の支度をしているお母さんの足に噛み付く、などのケースもあるようです。
また、こういったケ ースは、ケージに入れずに、放し飼いにしている場合に起こりやすい、という話も聞きました。
「ケージに入れるなんてウサギが可哀想」と思うかもしれませんが、多くの場合その逆です。
ケージがないということは、ウサギにとって、人間が入って来ない完全に自分だけのテリトリーがないということです。
同族のウサギならともかく、自分の何十倍もある巨人との共同部屋。
しかも、ウサギのボディランゲージは通じない。
ウサギでなくたって、ストレスがたまるでしょうし、いっそテリトリー内部の人間は噛み付いて追い出してしまえ、と思ってもおかしくはありません。
また、ウサギにしてみれば、「人間となかよくすれば外に出してもらえる」という楽しみすら奪われてしまい、ご飯も貰えて、自由に動き回れるのだったら、人間と仲良くする必要はない、ということになってしまいます。
(まれに、犬や猫みたいに共同スペースで共同生活の出来、かつ人間にフレンドリーな子もいます。そういう子は別にケージフリーでも構わないでしょう。)
実際、うちの実家にいたウサギはケージフリーの生活でしたが、噛みはしないものの、家中におしっこをまき散らすし、人間には怯えて寄ってこないし、いつもどこか不満そうな顔をしていました。
両親に、あまり自由を与えすぎるのはウサギにとっても不幸だ、という話もしたのですが、なかなかウサギと犬の違いが分かってもらえず、結局家を脱走して裏の山に逃げてしまいました。
(飼いウサギを野に逃がすのは、ウサギを殺すのと同じです。野犬や猫、田舎ならキツネなど、外は天敵だらけの上、飼いウサギの毛皮は目立ちすぎます。
両親には気の毒ですし、その子はろし太とえせるの子だったので私自身もとても悲しいですが、逃げた子は長く生き延びられなかっただろうと思います。)
さて、こうやってお山の大将になってしまったウサギを、どうすれば良いのか、という話なのですが……。
この段階に至ると、結構ウサギは遠慮せずに噛むようになっていますので、再度人間が主導権を奪い返すには多少噛まれる覚悟は必要と思います。
その方法は、今のところ、次の7番で説明する方法が一番効果的な模様です。
ただ、素直に傷を負ってやる必要はなく、人間ですから、分厚い服と軍手で装備すれば大分ダメージは減ります。
注意しなければならないのは、本当に人間をナメているのか、それとも人間が怖いのか、という見極めです。
人間を怖がっているのに噛まない躾をしようとしたら、「人間に虐められた」と思い、更に人間を怖がってしまうからです。
それだけは、絶対に避ける必要があります。
しかし、こちらから何か行動を起こして噛まれたのではなく、じっとしているだけなのにウサギの方から寄って来て噛んだのなら、それは高い確率で「ウサギにナメられている」もしくは「戦いを挑まれている」と思っていいと思います。
つまり、待ちの姿勢でしつけの機会を探るわけです。
ただし、この方法の問題点は、「まず最初に、人間の方が噛まれなければならない」ということです……。
正直、「噛まれる覚悟で」なんて書いてある飼育書はありません。そんな事書いて、噛まれて病院にかけ込む人が出たら大変ですから。
しかし、私個人の経験を言えば、ウサギが自分から噛んで来た時が、唯一、人間が反撃してもその意図を正しく理解してくれる機会です。
つまり、ウサギは、噛む時は反撃されることもあると分かってやっているのです。そのため、人間が反撃しても、自分を無為に虐めるためではなく、自分が噛んだことに対する反撃であると正しく理解します。
実は、私自身も、本に書いてある方法を色々試しました。
噛まれたら、声をあげてスタンピングの真似事をしてみる、顎を頭にこすりつけてみる、など。
しかし、これで引き下がってくれる子がいる一方で、このくらいでは、自分が負けたと納得してくれない子も結構いる、ということが分かりました。
そして、こういう子が噛んできたときに、正しい対処をすれば、その後二度と(本気では)噛まなくなる、というのもわかってきました。
本当は、可能であれば、ウサギが完全に自分が偉いと思い込む前に勝負を決した方が、こちらも痛みは少なくてすみます。
詳細は次の7番をご覧下さい。
7)人間と自分(ウサギ)の順位を決めようとしているとき
大人のウサギを引き取って来ると、数週間から数ヶ月後くらいに、ウサギから順位決定の戦いを挑まれることがあります。
一方、子ウサギを家に連れて来た場合は、子ウサギにはまだテリトリー意識がそんなにありませんから、当分はこういった行動は見られないでしょう。
が、仔ウサギが性成熟し、思春期にさしかかると、むしろ完全な大人ウサギよりも積極的に戦いを挑んできます。
このことが、仔ウサギの頃にウサギの性質をよく知らないままペットショップで買ってしまい、思春期の頃に手をやいて里子に出してしまう、という問題を引き起こしているようです。
順位争いの兆候は、まず人間の衣服を掘る、噛んでひっぱる、などから始まります。
甘えているわけでも、じゃれているわけでもありません。
犬や猫と違って、ウサギはそういうコミュニケーションはウサギ同士でもやりません。
ウサギ同士が、相手の毛皮を噛んでひっぱったり、掘ったりしていたら、それはじゃれあいではなく、上下を決めるための喧嘩です。
ですので、この行動を「甘えているのね、可愛いわ」などといって頭を撫でてやったりすると、それはウサギにとっては、「もう降参しました、お願いだから虐めないでね」という意味になってしまい、ますます増長してしまうのです。
この段階では、まだ厳しくこちらの力を見せつけてやる必要もないと思います。ウサギにしてみたら、軽くカマをかけてみたつもりなのに、いきなり本気で牙を向かれたら、なんて人間は怖い生き物だ、と思うでしょう。
しかし、これが気分の良いことではない、ということは意思表示する必要があります。
たとえば、「やめて」とはっきり言うとか(名前を呼ぶのは駄目)。
服を掘ったり引っ張ったりしているウサギの体を、両手で押しのけるとか(叩くのは駄目)。
ウサギによっては、この段階で、人間には力で敵わない、と学ぶ子もいます。
しかし、特にウサギが思春期の場合、更に行動をエスカレートさせてくる子も相当数います。
服を掘る次の段階は、薄く、「チクッ」とする程度(肌に傷が残つかない程度)に噛む、という行動です。
ウサギの鋭い歯と、木をバリバリ噛み砕く顎の力を思えば、これはかなり遠慮した噛み方です。すなわち、まだ様子を伺っている最中、ということになります。
目には目を、ではないですが、これに対する人間側の反撃も、それと同程度には遠慮しておく必要があります。
でないと、人間を怖がってしまいますから。
たとえば、強く地面を叩いてスタンピングの音をまねる。
あるいは、手をくちばしのような形にすぼめ、鼻先を軽くつつく。
自然界ではウサギは鷹などの鳥にも狙われますので、尖ったものでつつかれる、というのは非常に嫌なのです。
ここで決定的に大事なのは、そのタイミングです。
かならず、噛まれた直後、1秒以内にやること!
このことは、実際に噛まれたウサギの反応を思えば自明です。1秒以上も、のんびり待って反撃するウサギなどいません。
逆にいえば、それ以上出遅れたら、その時は諦めて反撃しない、ということを徹底する必要があります。
でないと、ウサギは、何故攻撃されたのか分かりません。
しかし、現実問題として、噛まれた直後1秒以内にスタンピングの真似事をする、などというのは、こちらに心の準備がなければ出来ません。
つまり、私が冒頭で、「噛まれる覚悟」が必要だ、といったのは、まさしくこのことなのです……。
「あ、こいつ、噛みそうだな」と思ったときに、逃げずに、相手が行動を起こすまで待ち、噛まれた直後にバン!と手を床に叩き付ける。
もし「チクッ」で済まない噛み方をしたら、瞬時にそれ相応の反撃をする。
それ以外に、「噛んだらいけないのだ」ということを明確に分からせる方法がないのだ、と分かったときに、
「ああ、ウサギを飼うなら、噛まれる覚悟が必要なんだな」
とわかったのです。
さて、「チクッ」と人間スタンピングの応酬でもまだウサギが納得せず、人間に順位争いを挑んでくる場合があります。
(もっとも、ここまでもつれこむのは、それまでのウサギの順位争いのサインを人間が見逃し、逆にヨシヨシと可愛がってやって増長させている場合が結構多いのですが)
こうなると、ウサギはもう少し遠慮なく噛んできます。
具体的には、皮膚に歯形の傷が残り、血が滲むくらい、あるいは、「チクッ」で済まない痛みを感じたときです。
血が出るほど噛むのは、ウサギ同士でもはっきりとした攻撃の意思ですので、このときは、もう人間も容赦せずに、最終決戦に突入です。
重ねていいますが、噛まれた直後1秒以内に勝負を仕掛けて下さい!
もしその1秒を逃してしまったら、その時は反撃をしてはいけません。次に噛まれる機会を待って下さい。
最終決戦といっても、決してウサギを叩いてはいけません。
ウサギ同士で、争いの間に叩かれることはありませんので、ウサギはそのメッセージは理解しません。
歯はウサギ同士でも使うことがあるかもしれませんが、人間がウサギに噛み付いたところで、たかが知れていますので、これもウサギ相手には使えません。
というわけで、唯一人間がウサギに対して使える武器は、力です。
体が大きくて強いウサギは、マウントで下のウサギを押さえ込みますから、力による優劣はウサギは理解します。
具体的には、噛まれた直後に、手のひらでがっと頭を押さえつけ、床に押し付けます。
抑えた手で、両方の目も覆って下さい。視界を遮った方が、ウサギはあまりパニックにならずに済みます。
ウサギが暴れても頭が動かないくらいの力で押さえつける必要がありますが、力の加減を忘れずに!
怪我をさせてはもとも子もありません。
(つまり、噛まれた人間の側は完全に冷静でなければいけません。もし、噛まれたことに少しでも腹を立てたなら、この方法は危険ですので絶対にやらないで下さい。)
そのまま、ウサギが暴れ出す前に、体ごと、ウサギの体の上にのしかかります。
勿論、全体重をかけたらウサギが潰れますから、そこは加減して下さいね。ウサギの体が動かない程度の力で十分です。
これは、頭を押さえられたウサギが暴れて骨を折らないための処置でもあるので、体が動かないように押さえて下さい。
そのまま10秒か20秒数えます。
その間に、ウサギはなんとか人間の下から脱出しようとします。
が、動けないため、そのうち諦めます。
そうなったら、ゆっくり体をどけて様子をみます。頭と両目を塞いだ手はそのままです。
体をどけても暴れようとしなければ、またゆっくり、頭の上の手をずらして、万が一にも飛び出さないよう背中の部分を押さえます。体をどけたとたんに暴れるようなら、もう一度のしかかって、おとなしくなるまで待ってください。
大体、ここでもう動かなければ、ウサギは呆然としていると思います。
そのスキに、(人間の)顎の下をうさぎの額の部分に、「ぬり」とこすりつけます。(人間には臭腺はないですが……)
これで、「アメとムチ」の「ムチ」の部分は終わりです。
これをやると、ウサギは、人間が手を離したあとも、暫く呆然としていたり、そのあと人間に近づくにも少々及び腰になったりします。
そうなったら、ウサギが負けを認めたということですので、沢山頭を撫でてやって可愛がってあげて下さい。
じっとして呆然としているようであれば、ゆっくりと沢山撫でてやればそのうち緊張を解いてくれます。
実は、このアフターケアがとても大事です。
ウサギは恐がりなので、基本的には「アメとムチ」は使えず、「アメ」だけしか使えません。
この方法のように、あえて「ムチ」を使うなら、出来る限り短い時間で終わらせ、その怖かった記憶を和らげるアフターケアが決定的に重要なのです。
実は、ウサギ同士でも、順位が決まったあとは、上の順位のウサギが下の順位のウサギの顔を舐めてやることがあります(順位を決めるときは、先に相手の顔を舐めた方が下になります)。
つまり、「ムチ」のあとで頭を撫でてやる、というのは、「もう順位も決まったことだし、仲良くしよう」という人間からウサギへのメッセージになるのです。
注)てんかんの症状があるウサギ、すぐにパニックになる傾向があるウサギには、体を押さえつけるような"反撃"はきつすぎてショックをおこす可能性があります。
少なくとも、体を触ったり、(力をかけずに)覆いかぶさったりしてもパニックにならない子が対象の方法とお考え下さい。
体を触られるだけでびくつくような子には、別の方法を考えて下さい。
そういう子はむしろ人間を怖がっている可能性が高いので、1〜4のケースを検討すべきと思います。
繰り返しますが、怖がっている子に、上に述べたような方法でのしつけは事態を悪化させるだけです。ウサギが自分でも「反撃されても仕方がないことをしている」と分かっているというのが、人間が反撃していい条件だということです。
なお、ウサギが思春期の場合、3番と同様に、避妊、去勢手術でこういった行動が抑えられる傾向があります。特にかなり積極的にウサギがアタックしてくる場合、殆どの獣医師さんも去勢、避妊手術を検討することに言及されると思います。
HRSでは基本的に、健康面、人間とウサギが一緒に暮らして行くという観点、複数のウサギが一緒に暮らしていくという観点のいずれにおいても、避妊、去勢が決定的に重要だ、という立場をとっています。
私本人は、雄の4歳の去勢手術の際、麻酔から目覚めなかったという痛い経験がありますので、どうしても手術が怖い、という人の気持ちも大変よく分かります。
が、これまでの経験、HRSで見たウサギ達の行動、全てを勘案すると、やはりHRSの主張は正しい、というのが現在の考� ��です。
こればかりは、実際に避妊・去勢手術されたウサギと人間の関わり方、またウサギ同士の関わり方を目にしない限り、なかなか分からないかもしれない、とも思いますが……。
8)機嫌が悪いとき
さて、ここから先は、それまでの噛み方と比べれは、通常は大変遠慮がちなものになると思います。
大抵は、「チクッ」という程度の、傷がつかないような噛み方です。
6、7番との違いは、通常自分からわざわざ寄って来ては噛まない、ということです。
たとえば、部屋で遊ばせていたら、足下をウサギが通りかかって、邪魔だ、といわんばかりに足の指を齧った、とかです。
この場合、足をどければ、それ以上わざわざ追いかけて噛んでこようとはしないので、6、7番のケースとは違う、ということが分かります。
ところで、何故機嫌が悪いのかについては、若干注意が必要です。
ストレスがたまっているのかもしれません。
思春期ならば、単にエネルギーを持て余しているだけかもしれません。
一番気をつけるべきなのは、牧草の食べ方が足りなくて、お腹の動きが悪い、など体調不良に起因する不機嫌です。
明らかに調子が悪くなる前に、結構ウサギは苛ついたりしますので、ふんの大きさやおしっこの量を注意して見たり、食欲が十分あるか確認して下さい。
というわけで、この程度の噛み方だったら、特に怒る必要もないと思います。それよりも、むしろ、どこか具合が悪いのかな、と注意して見てあげて下さい。
9)人間の注意をひきたいとき
人間としては嬉しくないのですが、たまに、噛むことで人間の気をひこうとするウサギがいます。
おそらく、かまって欲しいときにあまり構ってもらえず、たまたま噛んでみたら、(苦言にしろ何にしろ)自分に注意を向けてくれた、という記憶があり、それが定着してしまったと思われます。
同様の理由で、構って欲しいとお皿をひっくり返す子や、金網をガチャガチャと齧って大きな音を立てる子もいます。
これらの対策は、まず十分にコミュニケーションをとってあげることです。時間をきめて、一日数十分は遊んであげる、など。
そして、それ以外は、人間の困ることをされても無視する。
逆に、人間が嬉しい事(手をなめるなど)をしてくれたときに、大袈裟に褒めて、嬉しいことを伝えます。
そうすれば、ウサギは段々、人間にとっても嬉しいことをした方が人間の注意をひける、と学びます。
ただ、ウサギにしてみたら、一日の大半を一匹でケージの中で過ごしているのですから、寂しがりの性格の子は、噛んででも「構ってほしい」と思っても仕方がない面はあります。
ウサギの性格によりけりですが、あまり人間の注意を欲しがって、なおかつ人間の方にそれに付き合うだけの余裕がない場合には、家のウサギを去勢/避妊した上で、ウサギに気の合うパートナー(去勢/避妊済み)をつけてやる、という方法もあります。
ただし、やり方を間違うと、新しくやってきたウサギと殺し合いの大喧嘩になりますので、ご注意下さい。
多頭飼いの方法については、こちらのカテゴリーをご覧下さい。
仔ウサギの場合(生後3ヶ月くらいまで)
実は、私はブリーダーさんほどではないにしろ、かれこれ10匹以上の仔ウサギを育てましたが、発情期以前の仔ウサギに噛まれたことは一度もありません。
なので、たまに掲示板で見る「仔ウサギに噛まれた」という状況が何故起こるのか判断しにくいのですが、その説明についてよく見る「兄弟との間で噛んだり噛まれたりして加減を学ぶ」というものには、多少懐疑的です。
兄弟同士でかみ合ったりじゃれ合ったりするのは、犬や猫などの補食する側の動物はよくやりますが、思春期も含め大人のウサギはそんなことをしません。
ウサギ同士が噛み付き合っていたら、それは上下争いか、テリトリー争いです。
少なくとも、「じゃれて」いるわけではありません。
また、我が家の仔ウサギ達がそうやって噛み合っている光景も見た事がありません。
ですので、やはり、どちらかと言えば、恐怖か、もしくは何かが気に入らないのではないか、と思います……。
3ヶ月未満なら、まだテリトリー意識もそんなにありませんので、単に「怖い」という可能性が一番高いように思います。
特に、新しい場所に移して2週間以内(家に連れてきた直後)であれば、ウサギにとって、見るもの全てが怖いものです。
この場合は、とにかく2週間、時間を決めて規則正しく食事をやり、ケージの外から声をかけ、まず人間が側に居る事に慣らして下さい。
外に出すのは控え(トイレの躾にもこれが重要、ただし仔ウサギのうちはトイレを覚えないこともあります)、ケージに手をいれるときにあまり酷く噛まれるようであれば手袋をし、噛まれてもすぐに手をひっこめないよう� ��します(おどかさないため)。
その上で、噛まれたら軽く鼻先をつつく、など「痛い!」などの声と一緒に気長に躾けるしかないと思います。
それから、仔ウサギをなつかせるためのオヤツは少々考えものです。
まず糖分や水分の多いものは、仔ウサギの弱い腸を直撃する恐れがあります。
仔ウサギの頃に覚えた味は一生左右しますので、おやつばかり欲しがる子になる恐れもあります。
たまに、小指の頭くらいの量ならともかく、「噛まれたくないから」と毎日やると明らかにやりすぎですので、注意が必要です。
それに、ウサギは、美味しいオヤツをわざわざ友達のために運んでくることはしません。
オヤツ戦略では、「人間に近づくといいことがある」という条件付けにはなっても、本当の意味でウサギと友達になることは出来ないのです。
それよりも、2週間が過ぎて慣れてきたら、本来まだ側にいるはずの兄弟の代わりに手を体の側につけて置いてやったり、頭を撫でてやったりして、「ウサギの流儀で」時間をかけて仲良くなって下さい。
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